ネイチャーから見る、自然界の美しさ

BBCが魅せた傑作のドキュメンタリー映画

ドキュメンタリー映画と言うとあまり実感が無いという人もいるでしょう。日本でも制作されては公開されているものの、話題という話題を集めるまでには至っていない。元々メジャーな作品ではない、あるいは映画をあまり見ない人たちにすれば、こんな作品があったのかとそこからが界隈をよく知る人達との情報格差により見ておきたいものも見られない、なんて事があるからだ。こればっかりは本人の努力的意思やらが絡んでこないと、情報収集には役立てない。また自分が興味のあるもの、という視点でモノ探しをしないと見つけられるものも見つけられません。

そもそも映画分野という点で考えた場合、日本ではドキュメンタリーというものにあまり馴染みがないように見える。映画館で公開されているといっても、限られたところでしか上映していないというようなケースも多い。まずは映画を公開している場所から見つけるところから始めないと行けないあたりが、少し面倒ではある。

さて、そんなドキュメンタリー映画だがやはり日本国内よりは海外メディアが熱をあげているという印象が、個人的にもそうだが世間一般では強いはずだ。中でもイギリスは国営放映局であるBBCが、渾身の逸作とばかりに数々のドキュメンタリー映画を制作しているのは有名すぎる話だ。海外のメディアが作るドキュメンタリー映画は、日本人が作るものと比較するとしたら技法等が違っていることからも、映像美に力を注いでいる印象が強い。

ではそんなドキュメンタリー映画で今回は2014年に制作された『ネイチャー』という作品に焦点を当てて見ていこう。

作品概要

今作はドキュメンタリー映画となっているので、従来の映画と大分趣は異なっている。ただ視聴する際にはあまり見慣れていないと緊張もするかもしれません。実際筆者もドキュメンタリーなら軽い気持ちで見られるとは思っても、逆にどういう気構えを持っていれば良いのかといった点で迷ったほどだ。もちろん不要な感情なのかもしれないが、持つ持たないで印象はまるっと変わってくるだろう。そんな感じで今作の特徴を見ていこうと思います。

ネイチャーという作品は冒頭、世界のどこかのとある雨降る街から物語は始まります。雨降る街中で誰もが濡れないようにしている最中で1人、恵みだと言って喜びを露わにしている少女がいた。彼女の独白から物語は幕を開け、そしてそんな彼女の下に見も知らぬ案内人が登場し、彼女がこれまで見たこともない世界の神秘を見せてあげようといったのです。

恐る恐るその手に掴んで旅立つと、彼女の想像力に基いて構成された6つの異なる世界が展開されていくのだった。そうして映画は始まっていきます。

映画の内容として

ネイチャーという映画においてもっとも重要なテーマになっているのが『水』であり、冒頭の少女が独白のように語る雨を恵みと称するシーンもそのことを指し示していた。それを意味するように、物語上の語り部として紡がれる少女が向かう6つの世界というのも森から地下世界、異国の砂漠に深海、さらには天空の島に生命の水といった順に下っていきます。それら全てから通して見えてくる、人間枯らしても命の循環に必要不可欠な『水』という存在が強調されていた。

こうした内容から始まっていき、やがて人と密接な関係にある水が人間の文明社会以外でどのような役割を担い、人類という枠から離れた世界でどういった活躍をしているのかは、知るところではない。知ろうとしても知ることが出来ない、といった方が良いかもしれません。ただやがて水を通して見えてくるのが、この世界はいつになっても人々の好奇心を駆り立てる幻想的な色合いを見せる瞬間に溢れているという点だった。

世界最大の落差をほこる滝

今作においても最も特徴とも言えるのが、これまで誰もカメラに収めたことがない世界遺産の光景、その中でもジンバブエ共和国にある『ヴィクトリアの滝』が挙げられます。世界最大の落差を誇ることで有名なこの滝はユネスコ世界遺産登録もされていることで有名だ。しかしこれまで危険と隣合わせだったこともあって、落差を見るためとするカメラ撮影が入るのは今作が初めてのことだというのです。

それを証明するように、既に水は正面ではなく重力の法則に従うようにして下へ引きずり込まれるかのように落ちていく様は、まさに神秘という言葉が何処までも似合う光景と言っていいでしょう。こんな光景見たことがないと言葉を漏らしたところで誰に咎められるものではない。知らないからこそ引きずり込まれる、知っているのと知らないとではその違いは明確になるほど差を広げていくものだ。

命を語りつぐ物語として

ネイチャーという作品から見えてくるのは、何気なく使用している我々人類が水をどのように使用しているか、そしてその水が自然界ではどれほど貴重かつ壮大な世界を生み出しているのかが見えてくる。滝の壮大さだけでなく、人間が決死の覚悟を見せないかぎり見ることの叶わないような景色が広がっていることもよくある話だ。またその水によって生かされている生物たちのありのままの姿だけでなく、普段なら決して拝見することすら叶わない光景を見ることもある。

今作においてはフラミンゴの色が変わる瞬間が激写されていますが、それも一羽や十羽といった数でなく何千という数字の鳥達が一様に変化する姿は圧巻だ。何せこうした映像を編集するために573日と、1年半にも及ぶ撮影記録によって構成されています。撮影していく中で膨大になる撮影したディスクと格闘し、それらを編集してわずか90分前後のドキュメンタリー映画に仕立て上げていくのだから、制作という面でも生半可な仕事では務まらない特徴も併せ持っているものだ。

それこそ撮影に命をかけるほどの努力と気合を見せる海外の、というよりはBBCで勤務しているスタッフの撮影根性には感服するばかりです。日本で制作されているドキュメンタリー映画が肉薄、というわけではありませんが、気迫的なものが違っていると感じる瞬間でもあります。