オーシャンズが見せる度肝の世界

ドキュメンタリーであり、フィクションでもある作品

真実一緒くたにしてこそのドキュメンタリーと考える人もいますが、それだとインパクトという面に掛けるとして何かと仕掛けを用意する、つまりはヤラセだ。ヤラセは日本でも常態化しているが、真実を捻じ曲げてはいけない情報はともかくとして、あくまで演出の範囲であれば個人的にも許容できます。しかし悪質なものではまるで事実として放送し、時に特定個人を誹謗中傷するといった真似をする時もあった。ただマスコミというメディアは決して真実を報道するのではなく、『自分たちの都合の良い情報を流すための報道機関』と誰かが発言することがあった。肯定するわけではないが、事実として知られてはならない事はやまほどあるというもの。そこまでについて言及する必要もないでしょう。

ドキュメンタリー映画として放送される作品の中には同じく、ヤラセをしているものもあります。ただヤラセではなく、演出として事実に基づいて一映像として作品の価値を世に広げようとするものもある。その作品とは2009年に公開された『オーシャンズ』というフランスのドキュメンタリー映画だ。泥棒が活躍する映画ではなくて、純粋な意味での海で生きる生物たちに焦点を当てたもの。余談だが、泥棒たちが活躍する映画は日本のみならず、世界中で大ヒットしているのだが、この作品も日本では20億円以上の興行収入をはじき出していた。

要するに、日本でも知っている人がわりかし多めの作品となっています。

映画のお供に

海の生物、しかしその中には

海の生物達の生態を広く知って守らうために制作された今作の見どころは、普段見ることが出来ない海洋生物達のありのままの姿が克明に描かれた作品、と言えるでしょう。ですが実際には、この作品に登場する生物たちの中に、フィクションの権化とも言える人工的な取り組みが加えられていた。これを知ったら嫌悪感を持つ人もいるでしょうが、撮影するにしても海の生物とは中々恐ろしいものだ。それこそ海のギャングと呼ばれるシャチともし遭遇すれば、確実に捕食されてしまうでしょう。荒ぶる海を闊歩する凶悪性はサメやクジラなどにも容赦なく襲いかかると言われているため、人間としてもなるべくなら遭遇したくないところだ。

それ以外にも海で生活するには人間の体は不適合すぎる、海水にしても何にしても、水を泳ぐ術はあっても海上で生きながらえる事は出来ない生物です。平然と撮影こそしていますが、何かと危険がつきまとうのも事実。海外の水族館でもシャチの獰猛さは時に飼育員達の予想を遥かに超えた行動を起こしかねないため、実は命がけな仕事だ。

ドキュメンタリーを制作するとはいっても、撮影する人間を命という天秤にかけるのでは割に合いません。そこで考えだされたのが、映像の中であたかも海を泳いでいるかのように人工的な機械を用いての海洋生物を作り出すことだ。

これにより実際に海に潜って撮影したかのような映像美もあって、判別が難しい場面もあるなどの多様さを見せている。そこに美しさが、真実がないからといって糾弾するだけの業があるでしょうか。執拗に事実にこだわらずとも、あえて創りだされたフィクションというのも乙なものだ。

アニマトロニクス

この映画で用いられている技術というのは『アニマトロニクス』というもので、『アニメーション』と『エレクトロニクス』という言葉を掛けあわせて作られた造語となっています。技術的な面ではCGなどが急激に発達している中では衰退傾向にあるとはいえ、今でも時折用いられている表現方法だ。飼いならすという手段が通用しない海洋生物を再現するためには、この技術を応用することでより作品の素晴らしさを伝播させようとしたのかもしれません。

自然サイコーーーー!

70億円という制作費

さて、そんなオーシャンズのこぼれ話を一つすると今作は人気を博するだけに応じた内容だ。それもそのはず、撮影期間はおよそ4年間、フィルムは470時間程度もあり、壮大な作品を制作するために掛けた時間と投資は半端ないものだ。1つのドキュメンタリー映画を作り出すためとはいえ、ここまでの莫大な制作費を掛けられるなど考えられるでしょうか。

それだけ海洋生物達のありのままの姿を魅せることにより、自然環境の悪化を防ごうと啓蒙したいのかどうか、そこまでの意図を察する人もいるでしょう。今作の監督を務めたジャック・ペランさんも海洋生物達の素晴らしさ、神秘、そして命の輝きを知ってもらうために尽力したのが今作となっている。ドキュメンタリー映画の中では、その素晴らしさを知るためには十分な世界観と邂逅できる作品と言えるでしょう。